美鬚公、駆ける

 一気に距離を詰める。
輝く星のハサン等と呼ばれていたサーヴァントが慌てて短剣を振るったのを軽く受け止め、そのまま振るった青龍偃月刀が飛び退こうとする奴の脚を浅く斬り付ける。
その傷で逃げられないと悟った奴が再び振るった短剣を弾き、がら空きの胴への斬撃で膝をつかせる。

「ぐうぁ……かっ鐘の音、が……」

 そして、俺を見ながら別の誰かに脅える奴の首を、俺は青龍偃月刀で切り落とした。
だが、これは勝利とは呼べない戦いだ。

「間に合わなかったか……すまぬ」

 俺がラ・シャリテ近郊のこの村に来た時には、既に虐殺の終わった後だった
家という家は爆破された上で火をかけられ、生存者は居ない事が察せられた。
だが、俺には感傷に浸る暇も無かった。
何故なら、サーヴァント同士の戦いの気配を感じ取ったのだから。

「少し遠いか……間に合えよ!」

 今度は間に合う事を祈りつつ、俺は次の戦場へと駆け出した。

  • 最終更新:2019-03-17 03:43:34

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