極刑円卓領域 ■■■■・■■■■ Intro

『医療班の報告通りならメンテーの容態は正常だ。特異点の探索によって溜め込んだ疲労が限界に達したんだろうと』
「特異点で受けたダメージとかの影響じゃないのか……?」
第伍特異点終結後、メンテー・プルトランプは帰還して直ぐに倒れ込んでしまった。
ミーティングルームで倒れ込んだメンテーがフェリーペを背負い、素早く医務室に運んだことで大事には至らなかったが……。
『どちらかと言えメンテー自身の問題だろう。アイツが戦闘の際に利用しているのは自身の内側に救う亡霊の類だ。魔術に対しては門外漢だが、そんなモノを使って英霊(サーヴァント)と対等に戦おうって言うんだ、負担がデカいことぐらいは私でも分かる。』
「じゃあ、センパイは無理をして今まで俺たちを守って……」
『これからの特異点は更に厳しいだろう。魔弄王 スライマーンとの戦いもある。だから今まで以上の負担がかかるだろう。プルトランプの意思を無視して無理をさせるな、とは言わないが……最終的に判断をするのはマスターであるお前だ。それは忘れるな』
「あぁ、分かってる」
ナウマンとの会話を終え、次なる特異点に向けた準備を行う。


『今回の特異点は1564年のフランス。ヴァロワ朝のシャルル九世の時代だな。歴史上、特筆すべき出来事はないが……それでも特異点だ。守らなければならない人理のターニングポイントであることに変わりはない』
「前は迷惑かけたな後輩、もう大丈夫だ」
「あぁ、でも本当に無理は禁物だぞセンパイ」
『メンテーが病み上がりなのもあるし、負担を軽減する為に今回はミケランジェロにも同行して貰う』
ナウマンが珍しく、工房から出て調整に手を貸していたミケランジェロの方を向く
「は?俺が出向かねばならん?レスボスにも行けなかった俺が?」
ミケランジェロの方はと言えば第弐特異点へのレイシフトに失敗したことを引き摺って、偏屈により拍車がかかっていた。
「だいたい、俺がそちらに行ったあとカルデアはどうする?魔術に大した知識もない貴様がどうサポートするんだ?」
「そっちは他のスタッフに何とかしてもらう。いいから文句言ってないで、力を貸せ……『改革者』」
ナウマンがミケランジェロに生前の異名を用いて告げる。
それはミケランジェロの英霊としての能力を必要としているということだ。
ミケランジェロはそれ以上追求せずに同行を受け入れた
『それじゃあ、第陸特異点にレイシフトを開始する、三人とも準備はいいな?』
「「「ああ!!!」」」

──アンサモンプログラム スタート。 霊子変換を開始します。
レイシフト開始まであと3.2.1……
全行程 完了(クリア) グランドオーダー 実証を開始します──



「この風景は、どこかの村か……?」
「まぁ、流石に王室のド真ん中にレイシフトするわけにもいかないだろう。敵がシャルル九世ではないとも限らんしな」
ひとまず、村を巡って情報を得ようとするが……

『キャァァァア!!』

耳を裂くような叫び声が三人の元まで届いた。
「行ってみよう」「あぁ!」「レイシフトそうそう面倒な……」
一行は叫び声の先へ向かい急いだ。
村では西洋甲冑の騎士達が叫びながら、村人達を捕らえていた。
「全員、神妙に縄につけ!」「お前達には現王政への謀反の疑いがかかっている!!」
村人達は騎士に驚愕したように抗議する。
「そんな!?何かの間違いです!我々は今の王政に対してなんら不満を感じてはいません!」
その言葉を受けた騎士は、その兜の下で薄ら笑いを浮かべた。
「あぁ、そうだ。そうだとも。これは“嘘”だ。この村に謀反の罪など無ければ、我々粛清騎士は王朝の使い走りなどでもない。」
「我々が望むのは粛清と応報。愚かな民衆と王政に対する断罪である。」
騎士達の嘲笑が木霊し、腰に下げていた剣を抜き放つ。
「アイツら……ッ!」「止めるぞ、後輩!」
メンテーも早速盾を構えるが、それよりも早く、白銀の閃光が騎士達の剣を、槍を跳ね飛ばした。
「降伏してください。わたしは貴女方に危害を加えるつもりはありません。ですが……この村の人々に対する危害を見逃すことは出来ません。」
白銀の甲冑に獅子を模した兜を身につけた少女は騎士達に警告する。
それを受けて、騎士達は動揺するが……しばらくすると霞のように霧散し、消えていった。
騎士たちの消滅を確認すると白銀の少女は村人に手を差し伸べる
「魔力によって造られた使い魔の類でしたか……、あなたも大丈夫でしたか?」
「は、はい……あの、貴方は?」
「名乗るほどの者ではありません。とにかく、あなた達が無事で何よりです」
少女はそう言って微笑む。その輝きに村人達は聖女の気風を感じ取る。
「なぁ、君……もしかしてサーヴァントか?」
少女の鮮やかな手際にしばらく惚けていたフェリーペ達が駆け寄って問いかける
「何故、そのことを……?あなた方は?」
「俺達はカルデア。人類史を脅かす特異点をなんとかするためにやってきた。もし、君が人類史を守る英霊なら……話を聞いてくれないか?」
「人類史を……世界を守る……。いいでしょう。私の真名は 聖エウラリア。話を聞かせてもらえますか?」


城、と呼ぶには些か手狭な砦の中で騎士達が整列する。
自分達の主へと、戦況を伝える為だ。
「粛清騎士達より報告、円卓第十一席
杉谷善住坊。王政側のサーヴァントに破れ、消滅を確認。」
「また、所属不明のサーヴァントを確認。一騎は楽士のようですが……もう一騎は……その、槍を持った聖女であったとの事です」
騎士達は主の機嫌を伺いつつ、話し続ける。
それに対して、彼女達の主……黒鉄の甲冑に身を包む少女が応じる。
「またしても、私の騎士が討ち取られましたか……既に半数も。それに、はぐれサーヴァントの追加召喚……。情勢は傾き始めている」
口元に手を当て深々と考え込む仕草をするが、しばらくしてから少女は破顔した。
「いいでしょう、もう一人の私!あなたの前に民草と王の首を並べて、私の復讐の完遂をお披露目してあげましょう!仮令、あなたが力をつけようと、“聖杯は既に我が手中にあります”!情勢などいくらでも書き換えれるの!」
演劇のように大仰な手振りをしてから、少女は『自身の円卓』に向かい合う。
円卓を囲む者達はいずれも英霊(サーヴァント)だ。
「我が『極刑円卓』よ!誰かの声に或いは己の心に従い、生を謳歌していたあなた達は民草に、権力に、その命脈を奪われた!故にこそ、我等はその裏切りを、屍の上の虚栄を断罪する権利がある!」
「アヴェンジャー:エウラリアの名を持って、人類史の機構(システム)に刑を執行します!!」
第陸特異点の首魁は人理との敵対を此処に宣言した。

AD.1564 第陸特異点 極刑円卓領域 ■■■■・■■■■「13」の乙女 人理定礎:EX

  • 最終更新:2020-03-31 17:43:14

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