告白

全長7メートルはあるであろう虎。それが六匹。その存在感と内に秘めた神秘がこの虎の脅威と恐ろしさを引き立てる

英霊の顔を認知すると彼らは襲いかかった!

二匹の虎が白雪姫に襲いかかる。だがその牙が届く前に、一匹は首を斬られ、もう一匹は返す刃で心臓を凍らされた

二匹の虎がアインシュタインに襲いかかる。だがその牙が届く前に、彼女の輪郭がブレ、瞬く間に二匹の虎は穴だらけになりその場に倒れた

二匹の虎がモーシェに襲いかかる。だがその牙が届く前に、彼が取り出した魔術書達が煌めき、一瞬の光とともに虎は二匹とも焼け落ちた

あっという間に虎は制圧される。しかし倒した彼らの顔はあまり優れない

『手応えがなさすぎる』

あまりに見掛け倒しだったのだ。神秘と力が釣り合っていないような……………
改めて倒れた虎達を見る。しかしピクリとも動かない。杞憂だったのか?白雪姫らは警戒をとき、シャドウ・ボーダーに入る

ちょうどその時大嶽丸が戻ってきた。米俵のように少女を担いでいる
「もっと丁重に扱えないのか?」
「そうは言ってもよ学者殿。この嬢ちゃんまじで足速くてよ?俺も本気を出さなきゃならなかったんだよ」

その言葉を聞き驚く藤丸。大嶽丸の敏捷はAランク。その彼が追うのに苦労するとは……………

少女は椅子の上に寝かせられた
いつ目覚めるか分からないが、目覚める前の間、彼女に聞くべきことを相談するカルデアであった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「……………ヴェハハハハハハハハハ!そーこにいたのか、カルデーア」

ウエスト・サイド・ステップを刻みながらカルデアの姿を捕捉した虎狩りのケイトー。彼の視線は虎と一体化しているのだ

カルデアの姿を捉え、『着弾』しようとする……………が、その時一匹の蚊が飛んできた。同じ傷持七豪集の「黒幕の4人目」が放った使い魔だ。虎狩りのケイトーはその蚊を潰す。バラバラになった破片が四辺(スクリーン)となり、他の同僚を映し出す!

「うーん、どうしーたんだ、『黒幕』殿。これーから拙者ーが撃ち取ろうーというのに」
「すまないねぇ、『虎狩り』さん。傷面(スカーフェイス)様がパニックを見たいって言うもんですからねぇ。貴方の虎、そのまま襲わせることできませんかねぇ?」

この命令は「お前が出ると主人が楽しめない」と言っているようなものだ。だが虎狩りのケイトーは不平にこそ思うが逆らう事はない。それが彼(ケイトーノニンゲンセイ)だからだ

「……………了ーー解。なーらば、虎は合体しーたほうがーいいね。拙者ーはそっちに帰るーこととするよ」

そう言うと虎狩りのケイトーは画面を注視。そして光の速さで画面内の施設に『着弾』したのだった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

眩しい、意識を覚醒させながら思う少女。金髪をポニーテールにして白縁メガネをかけている彼女は目をしばしばさせた

目の前には先程目があった少女がいる。オレンジ色の髪の毛をまとめ、赤縁メガネをかけている。そしてその胸と尻はウォーターメロンやパンプキンを彷彿とさせるくらい丸々と大きく育っており、プリンやゼリーのような柔らかさがありそうだ

ぼうっと少女は考えていたが声を掛けられる
「貴方、名前は?」

攫っておいて聞くのか?(まあ自分に非はあるが)と思う少女だったが、豊満な少女がかけているネックレス……………そのマークを見て目を丸める

(この人たち"カルデア"なの!?)

まさか"自分の探していた人たち"が目の前にいるなんて思わなかった。彼女は衝撃のあまり口を噤んでしまう。そして冷や汗がダラダラと垂れてきたのだ

(ちくせう、せっかく良さげな装甲車あったからマーキングしてたのに、まさかカルデアだったなんて!)

もしかしたら"協力"してくれないかもしれない。そう思うと心の底からゾッとしてくる

そんな心の揺れ動きは見えない(他心通は持ってない)藤丸はもう一度少女に名前を尋ねる

その言葉を聞き幾分かの冷静さを取り戻す少女。流石にいつまでも無口(無個性主人公)でいるわけには行かない。いざ答えようとした……………


その時!

火山が爆発したかの如き地鳴りと揺れが起き、シャドウ・ボーダーが宙に浮く!

何事か?中の職員は外を見る




そこには城が"いた"

その石垣は爪であり
その塀は皮膚であり
その櫓は牙と尾であり
そしてその天守閣は顔である

全長70メートルはあるであろう"虎型の城"がそこに建っていたのだ!

これぞ虎狩りのケイトーの『十八番(宝具)』【築湯池鉄城】だ!
彼は築城の達人!故に彼の思うがままに城を建てることができる!

この城は『陸虎城』。六つの不死の虎を融合させて建てた高機動型和城である

しゃちほこの目を輝かせ、シャドウ・ボーダーへと飛びかかった!

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爪が届く寸前、なんとか方向転換するシャドウ・ボーダー。全速力で走るが城はまだ追ってきている。周りを破壊しながらも追ってくる城。それはパニック映画にも匹敵する恐ろしさと一種の滑稽さがある

……………無論カルデア側は死に物狂いだ。追いつかれたら餌になるだけなのだ

呪術や魔術、氷なども飛んでいくのだが、城の質量に対しては微々たるもの。幻覚も全く通用しない

「あー、畜生。俺は食べるのは良いが、食べられるのはノーセンキューだぜ!」
「嘆いているならさっさと雨振らせろ!」
「ママーッ!!助けて!(錯乱)」
「マスター落ち着け!私はママじゃない!ええい、抱きついてくるんじゃない!」
「諸行無常とはこの事か………」
「いやそれは違うと思いますがな!」

The Panic(阿鼻叫喚地獄)

チェイテ城にピラミッドが埋まった上に姫路城が乗っかりつつウィンチェスターハウスが出現したことはある。だが虎型の城が襲われ喰われそうになる事はない!

しかしその混乱で正気を取り戻す者もいる。件の幼女だ。彼女は運転席まで行き叫ぶ

「メトロポリタン美術館に行って!早く!」

その言葉は妙に響き混乱が止まる。この幼女の言うことを信じて良いのか?藤丸は白雪姫の顔を見る

白雪姫は頷く。彼女の心眼は幼女から邪な感情を読み取ることはない。……………純粋な善意だ

藤丸は腕を上げ声を張り上げる

「メトロポリタン美術館に進路を取ってください!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「やーたらめったらかと思ーえば、ここにー来て、行き先がー決まったよーだね」

酒を飲みながら分析する虎狩りのケイトー。彼の目は『陸虎城』と一体化しており、その様子をリアルタイムで見ていた

「だがこの様子じゃ」
「捕獲は時間の問題」
「処刑もできそうもない」

『肝心』『蛮暴』『処刑』は思い思いの意見を言う。それだけ『陸虎城』が優勢に見えたのだ

だが『黒幕』は異議を唱える

「よく見てくださいねぇ。……………"彼"が来ますよォ」

『黒幕』は蚊を潰し、新たな映像を映す。……………そこにはフードを被った男が高速移動する姿があった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

城はシャドウ・ボーダーを追う。間合いに入れば爪を振るうが中々当たらない。だが、少しずつ掠りつつある

今度こそ完璧に捉えようとしたその時、城は急停止した。否、城は"動けなくなった"
その城体に無数の槍が突き刺さる。その槍は鞭のように拘束する。いったい誰が?


……………フードの男だ。彼が右手から金属の鞭槍を出し地面に縫い付けたのだ

城は全く動けない!シャドウ・ボーダーとの距離がどんどん離れていく

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アメリカには地下世界が広がっている。これは虚構ではなく真実だ。かの有名なアメリカ陸軍人のジョン・クリーブス・シムズもそう言っていた

「しかしこんな広い空間があるなんて知らなかった」

アインシュタインは驚嘆の声を漏らす。当然だ。彼女も生前行ったことがある由緒正しい博物館の下が"武器庫"になっているなんざ思いもよらない事だろう

他のカルデアメンバーも感嘆や驚嘆の声を出す。そしてあらかた見た後竜王 リンドヴルムが尋ねた

「さて……………色々と聞きたいことがあるからな。質問いいか?」

「ええ、構いませんわ」

そういうのは幼女だ。彼女のお陰で助かったが彼女の正体は何も分かっていない。彼女は火薬箱の上に座ると自己紹介を始めた

「はじめましてカルデアの皆さん。私は"リオナ"。ここ"モールド・オブ・メトロポリタンの管理者で叛逆者(レジスタンス)のリーダーだわ」

その言葉に騒めく。藤丸は質問を切り出した

「何故私達がカルデアだって知ってるの?」
「そのペンダントがカルデアの物だからっていうのはダメですかわ?」
「いやそもそもこのマークを何故知ってるのよ?」
「リドリーさんから教わったんですわ」

そう言いながらリオナは酒タバコ(紙に酒を浸し丸めて火をつけるタバコ)に火をつける

「流石に早いんじゃないか、嬢ちゃん?」
「お気遣いありがとう。でも111年の人生じゃ楽しみもこれくらいしかないのよ」

混乱は山積みだ。彼女はレジスタンスを名乗っている。1人しかいないが。クリプターの1人リドリー・フォーサイトと恐らく面識がある。そして彼女の年が本当だとすると明らかにおかしい。一つずつ消化するべきだろう

モーシェはまず一つ聞いた
「そのリドリーはリドリー・フォーサイトの事で間違いないか!」
「ええ、そうよ」
「何故君と面識がある!」
「私たちと協力して打倒スカーフェイスを目指していたからよ」
「ならば何故この場にいない!」

その言葉に言葉を詰まらせるリオナ。しかし言わなければならないと思い口を開きかける……………

「いやそこは俺が言おう」

その時、男の声が聞こえた。声の方向に向かって振り返る一同。そこにはフードを被り顔を隠した人物がいた

「セイバー。貴方無事だったのね」
「お陰様でなリオナさん。城はなんとか破壊できた」

セイバー。最優と謳われる英霊に与えられるクラスである。彼の正体は?疑念の目を向けられるセイバー。その念を感じ取り名乗りをあげる

「……………怪しいもんじゃあないぜ。俺はセイバー。真名はロドリーゴ・ディアス・デ・ビバール。この世界じゃ"無形のエル・シッド"って言われているんだ」

その名乗りの後彼は間髪いれずに次の言葉を言い放った
「この異聞体のクリプター。俺のクソマスターリドリー・フォーサイトは


死んだ」

  • 最終更新:2019-09-10 22:12:27

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