【CLASS】アーチャー
【真名】后羿 / Hou Yi
【性別】男性
【身長・体重】170cm・57kg
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力A 耐久B 敏捷A 魔力B 幸運E 宝具EX
【保有スキル】
対魔力:B
魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等をもってしても傷つけるのは難しい。
単独行動:A
マスター不在でも行動できる。ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。
千里眼:B+
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。ランクが高くなると、透視、未来視さえ可能になる。アーチャーは数秒間だけ未来視が可能。
弓神の智慧:A+
神として天上に存在していた為に持ち得ている叡智。英霊が独自に持っているもの以外のスキルを、B〜Aランクの習熟度で発揮を可能とする。またマスターの同意があれば他サーヴァントにスキルを授ける事も可能。アーチャーがよく戦闘時に使用するスキルは「魔力放出」での攻撃力の倍増。
神性:E
神霊適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされる。アーチャーは元々神霊だったのだが天帝によって神性を剥奪されているためランクが落ちている。
神秘殺し:A
神を殺した後、数々の魔性等を打ち倒した謂れがスキル化したもの。神性や魔性を持つサーヴァントに対して特攻効果を発揮する。
【宝具】
山巒は我が威武となりて(フェイツイ・リー)
・ランク:C+
・種別:対人(自身)宝具
・レンジ:0
・最大捕捉:1人
九嬰を討伐した際、自然に山崩れが発生し、その中から発見された翡翠の弓懸。
山の加護を備えており、弦を引けば威力が倍増され、放たれる矢は翠のレーザーホーミングと化す。とはいえ、実態のある矢なので弾く事自体は可能。しかし、可能にするにはそれ相応の筋力と耐久が求められる。
弓懸は籠手としても機能しているので、防御にも使える。
赫焉は頂く穹窿と倶に(トーン・ハオ)
・ランク:A
・種別:対魔宝具
・レンジ:1〜50
・最大捕捉:1人
天より授けられた赤い大弓。
矢を用意する必要はなく、弦を引けば自動的に補充され、更に機関銃のように連射も可能とする。
この弓から放たれる矢は少なくとも対軍宝具並みの威力を備えており、加えて上述の宝具と合わせて一矢だけ道路とビルを半壊させる規模となっている。
また生前に使用したとされる宝剣は、この宝具と一体化されており、末弭から上関板、姫反、鳥打、胴にかけてと、本弭から下関板、姫反、大腰にかけての部位が刃となっている。こちらの刃部も対魔宝具としての効力を持っている。
黄昏の尽より眠る日射(ヌディ・ムバ)
・ランク:EX
・種別:対神宝具
・レンジ:1〜99
・最大捕捉:1人
赤い大弓と共に天より与えられし白矢。
光で構成された矢。その輝きは銀河系の如き光源であり、日輪の熱量をも超える対神性能を備え、太陽神の系統であれば必殺の一矢となる。
天帝と太陽の女神義和の子で、日輪の化身たる十人の神々の内九人を射落とした伝承から、神をも滅ぼす絶大なエネルギーを持ち、地球上にこの熱量に耐えられるものは存在しない。真名が解放されれば、解放したエネルギーの余波だけで周囲は瞬く間に蒸発し、光源の中心たる矢が放たれれば森羅万象の全てが日輪を超える熱量を以って覆滅する。
この宝具のデメリットは逸話の再現により九回しか使用できないのと、余りの高出力により上空にしか発射できないのと、非常に悪い魔力燃費の三点。しかし、他の宝具にはない利点は、九本の矢を一度ずつ使うのではなく、統合して威力を上乗せさせる事を可能にする点である。
【解説】
中国神話、日射神話にて語られる大英雄。『黄昏の射手』の異名を持つ弓使い。
天帝と太陽の女神義和の間に生まれた十つの息子は太陽の神格を持って生まれ、一日に一人ずつ世界を照らす役割を担っていたが、いつの日か彼ら自身の役割を捨て、いっぺんに顕現するなどという暴挙に出た。
十つもの日輪から放たれる日照りは台地を枯渇させ、世界を炎天下に変えていた。
人々が神々の身勝手さに苦しむのを見兼ねた堯が、羿に対処の依頼を出した。諸悪の根源であろうとも天帝の息子たちには変わりないので、穏やかに何故こんな事をするのか、元の役割に戻ってくれないかと説得を試みたものの、返答は神らしく傲慢な言だった。
──何故、我々が人間若きの為に従わねばならない?
それが決定打だったのか、交渉の余地はないと羿は悟り、弓を構えるしかなかった。苦渋の決断だった故、最後まで渋ったが結末は十つの内九つの日輪の失墜。
偉業を成した羿は民々に英雄と讃えられた。旱魃を避け、台地への恵みを戻した大英雄として。後にも、羿は地上にて災害を引き起こす魔獣等を討伐し、人々から信仰と人望を集め、ますます英雄だと謳われるようになった。
しかし天帝は、息子たちを討たれた事に対し不満を抱いていた。仕方のなかった事とはいえ、子を殺されて不満にならない筈もなく、日に日に不満を積もらせていき、最終的に羿と妻の嫦娥の神性を剥奪する理不尽に走った。これにより、天にいられなくなった羿と嫦娥は下界での生活を強いられる事となる。
羿にとって地上の生活は苦ではなかった。何故なら最愛とも言える妻の存在があっただから。
だが、嫦娥は表面上は平然を装いながらも、今まで天での生活が当たり前だったので、無理をしているのは羿の目から見て明白だった。
嫦娥の嘗てのしたたかさを、活気を取り戻して欲しかった羿は西王母の下へ赴き、再び神性を獲得できる不老不死の霊薬を譲ってもらう事に成功する。
持ち帰った霊薬を住処に置いて狩りに出かけると、不老不死の誘惑に勝てなかった嫦娥は一人で霊薬を飲み干してしまい、天に昇るに至った。そしてその途上で、嫦娥は優しげに微笑む羿を目視して悟ってしまった。
全て分かっていのだ、自分の本心を。幸せそうな表情で見る羿の姿が何より嫦娥の心に翳りを作った。何て愚か者なのだろうと、気づいた時には既に手遅れで、嫦娥は月にて顔を手で覆いながら涙した。
後々、独りとなった羿は逢蒙という弟子を取り、彼に己の持つ技術の全てを授ける。しかし、野心を持った逢蒙は、羿を亡き者にする事で自身が天下一の武芸者になれると考え、暗殺を企てる。
最初は教わった弓の技術で暗殺を試みるも、矢が当たる寸前に掴まれて失敗に終わる。当然、何らかの罰が与えられると身構えるも、羿は逢蒙を許した。その瞳に一切の悪感情は存在せず、あるのはただ「無」のみ。
羿は平気だと思っていた孤独感に知らず識らず摩り切れていたのだ。寂しさを紛らわす為に感情を殺し、孤独感を満たす為に弟子を取る程に。
逢蒙は人間性のない目に恐怖し、無我夢中で桃の木の棒を手に羿を撲殺し、日射神話の幕を下ろした。
【人物】
温和で優しい口調で接し、時には厳しい言葉も投げかける教師のような性格で、自分よりも周囲を優先し、誰かの為であろうとする奉仕体質。事実、天帝の理不尽な罰も受け入れ、嫦娥と霊薬の件や、逢蒙の裏切りに対しても怒りの感情を抱かずにに彼らが幸せであればと受け入れた。
妻の嫦娥を心から愛しており、羿の心の大半は嫦娥で満たされていると言っても過言ではない。
実は羿という英雄……もとい神は、いき過ぎた神々の行いに対して粛清する為に造られた「兵器」であり、只々神々を罰する為の機巧に過ぎなかった。
そんな「兵器」に付き添い、心というものを教えたのが嫦娥であり、羿を機械仕掛けの存在から、感情を持つ存在へと変えた。
羿の持つ嫦娥への不変なる愛は、彼女が嘗て与えてくれたものが大元となっているので、羿が嫦娥に怨恨を抱いたり、ましてや裏切る事など決して起こり得ない。
西王母から不老不死の霊薬を譲ってもらったのも、全ては嫦娥の幸福を願う心から来るものであり、たとえ自分と離れる結末に至っても彼女が幸せならばと。
しかし、心の奥底には別離してしまった寂しさが残っており、聖杯戦争での召喚に応じたのも『再び嫦娥に会いたい』という願いがあった故に。
余談だが、好みの女性は巨乳だったりする。
【関連人物】
【関連人物】
嫦娥
羿の妻。中国神話で語られる女神で、後に日本神話で伝えられるツクヨミと同等の月の権能を持つ女神となる。今作では羿に心と感情を与えた人物であり、伝承通り羿が最も愛する女性。
誘惑に負けて不老不死の霊薬を飲んでしまった事は悔いており、自らを罰する形で月に孤独でいる事を選択した。
羿の弟子。野心家で、羿の持つ武芸の技術を全て吸収した天才。師を亡き者にすれば自身が天下一となれる思い、欲望のままに羿を手にかけようとした……というのが歴史に刻まれた記録。
実は羿の射落とした「九つの太陽」から生まれた憎悪の化身であり、本人は知る由もないが、羿を殺す運命にあった『定められし反英霊』。