ビーストⅤ

【CLASS】ライダー/ビーストⅤナイトメア
【理】妄執
【元ネタ】創作
【真名】ドン・キホーテ(アロンソ・キハーノ)/夢回す風車
【性別】不明(核となるアロンソは男性。それ以外は老若男女あらゆる性別が混ざり合い風車の燃料となっている)
【身長・体重】171cm・62kg(アロンソ)、推定で空想樹と同等(風車)
【属性】混沌・善(アロンソ)、不明(風車)
【ステータス】
アロンソ:筋力D 耐久EX(風車と共有) 敏捷E 魔力EX 幸運C 宝具EX

風車:筋力A 耐久EX 敏捷E 魔力EX 幸運- 宝具EX


【クラス別能力】

獣の権能:A
対人類、とも呼ばれるスキル。
『人類または人類史』に含まれるものに特効性能を発揮する。

単独顕現:B-
単体で現世に現れるスキル。単独行動のウルトラ上位版。
このスキルは“既にどの時空にも存在する”在り方を示しているため、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の時間操作系の攻撃を無効にするばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルする。

自己改造:A+
自身の肉体に別の肉体を付属・融合させる適性。このスキルのランクが高くなればなるほど、正純の英雄からは遠ざかる。
ビーストVの場合、後述の簒奪憑依により取り込んだ対象が保有していたスキル・宝具をも自分のものにする。ただし取り込んだスキルは全て一段階ランクダウンし、宝具の方も真名解放はできない。

ネガ・ドリーム:A
見果てぬ夢、捨てきれない未練が結実した末のスキル
現実を侵し思うがままに改変する侵略型固有結界。
ゲーム的に言えば無敵貫通・防御無視・全攻撃への耐性付与・相手方に防御お呼び魅了耐性デバフ永続追加・自身の攻撃力大幅上昇。

【固有能力】

簒奪憑依:A
 本来のクラスであるライダーの騎乗スキルが変質したもの。
 ビーストⅤが紡ぐ夢に魅せられた者は漏れなく彼の一部となり、僕としてビーストⅤが消滅しない限り永遠に使役される。さらに憑依対象が保有する魔術・スキル・その他宝具も強制的に取り上げられ、ビーストⅤのものとなる。

輪廻する風時計:EX
 風車が持つ固有能力(機能)が昇華されたスキル。
 風車の回転を時計の針の動きに見立てたものであり、ダメージが一定レベルを超えて蓄積すると逆回転する仕組みになっている。
 このスキルが機能し続けている限り、風車とドン・キホーテに与えられたダメージは自然かつ永遠に回復し続ける。
 スキルへの対処法は二つ。一つは逆回転を許さない程の大ダメージを与える事、もう一つは風車の回転そのものを物理的に止めてしまう事。ただし動かないとはいえ風車自体が空想樹に匹敵する大きさの上、風車自体の耐久もあって『外側からの』破壊は困難を極める。

【宝具】

・我が空想よ、現実を超えよ(ドン・キホーテ・ロマンシア)

ランク:EX 種別:対自己宝具 レンジ:- 最大捕捉:(顕現した時代ごとに変動する為、測定不能)

 ドン・キホーテ(アロンソ・キハーノ)が保有する宝具。
 ドン・キホーテが思い描く理想の自分を具現化する能力であり、発動と同時に自身のステータス・スキルを自由自在に設定する。
 また、後述する第二宝具が生み出す世界によってドン・キホーテの姿も変動し、魔物を退治する勇者から現代の兵士に至るまであらゆる姿に成れる。

・風車の夢、牢獄の理想郷(リインカーネーション・ナイトメア)

ランク:EX 種別:異空間宝具 レンジ:- 最大捕捉:(顕現した時代ごとに変動する為、測定不能)
 
 ビーストⅤが保有する第二宝具にして真の宝具。
 本体である風車を中心に一つの異空間を生み出し、夢などを通じて人間を誘い込む。夢の中に取り込まれた者は時間経過と共に自己を見失っていく効果もあり、最終的には第二宝具を構成する一部として組み込まれてしまう。
 また、長時間おらずともビーストⅤの意思次第でいくらでも吸収可能となっており、その場合はビーストⅤの手駒にされるか単純な魔力源として絞り尽くされる。
 戦闘面としての効果は催眠などの精神攻撃、および地形・空間そのものによる物理攻撃。前者は対象に悪夢を見せる、あるいは幸せな夢を見せて一生起き上がれなくする。後者は重力を増減したり大地や天候を操って攻撃させるといった手法になる。また、無限にエネミーを生み出す事も可能。
 ただし風車であるが故の弱点として、一度でも内部に飛び込まれると地形・空間攻撃は不可能になる。その場合は風車内に仕掛けられた罠やエネミーによる物量戦が主。


【解説】
 ラ・マンチャの騎士ドン・キホーテ。またの名をアロンソ・キハーノ。
 小説家セルバンテスの名作『ドン・キホーテ』の主人公である彼は、騎士道物語をこよなく愛する郷士でしかなかった。空想の果てに現実との区別を付けられなくなり、粗末な装備で騎士を名乗り、ドタバタ騒ぎの果てに正気へ戻り絶望と呪詛を吐きながら病に倒れる――。それが、彼の末路だった。

 ……ここから先はごくありふれた、そして『ドン・キホーテ』とは何もかもが異なる記録。
 ある村に、騎士に憧れる青年がいた。時は十字軍遠征の真っ盛り、聖地奪還の題目を掲げ遥か彼方を目指す集団に志願し、彼は野望を胸に旅立った。
 別の街に、玉の輿を狙う貴族子女がいた。成長した彼女は舞踏会へ乗り込み、王族もしくは大貴族とのつながりを得ようと奔走した。
 また異なる里に、大名を夢見る百姓がいた。時は戦国、下剋上が日常の時代。彼は何処かの家中に仕え、武勲を上げ出世しようと足軽になった。
 さらに遠くの都には、田舎より出てきた村人がいた。長旅の末辿り着いたその人物は、いつか家族と村人たちに楽をさせてやりたいと商家への奉公に励んだ。
 小さな島に、海の向こうへ憧れる少女がいた。どこまでも広がる大海。その果てを見てみたいと願った彼女は、ある日こっそり小舟を出して航海に乗り出した。
 そしてある国に、兵士に志願した少年がいた。世界規模の大戦が繰り広げられていた時代。政府に扇動されるがまま国の為と信じて出征し、戦地へと派遣された。

 その全員が、道半ばで、何一つ報われないままに息絶えた。

 彼ら彼女らの死因は様々だ。行き倒れ、流行り病、流れ矢、あるいは冤罪による獄中死や嵐による難破……。
 どうあれ皆、夢を叶えられずに終わったという点では等しく同じだった。
「どうして」「何故」「理不尽だ」「納得できない」「こんな筈では」「何かの間違いだ」「嘘だと言ってくれ」「誰か、どうか」「許せない」「もう一度」
「終われない」「チャンスを」「誰でもいい」「私に」「俺に」「僕に」「儂に」「オイラに」「自分に」「某に」


『今度こそ、夢を叶えてやる』


 かくして希望は聞き届けられた。ただし、この上なく歪んだ形で。
 今となっては確たる所以も原因も分からない。遠く別の地で顕現した獣が呼び水となったのか。あるいは、人類が人類であるが故の必然だったのか。
 ただ一つの現実として、かつて人間だった者達は獣として再誕した。

「ちがう」「こんな筈じゃ」「嫌だ」「化け物になんかなりたくない」「助けて」「許して」
「なんで、なんでこんな」「間違っていた」「神様、どうか」「終わらせてくれ」「悪夢だ」

 ドン・キホーテは依代の名。
 その正体こそビーストⅤ。『妄執』の理を司る終末の獣。
 見果てず諦めきれず、ついに捨てきれなかった呪詛(ユメ)が生み出した、絶望の化身である。

【解説その2】
 ドン・キホーテとしての姿は、古ぼけた騎士装束を纏った初老の男性。
 人格も原典におけるアロンソのそれと大差なく、(形はどうあれ)正義感に燃え騎士道精神に忠実な熱血漢。
 ただしこれはあくまで仮初の人格。その正体はドン・キホーテという英霊をベースに、彼の物語において短くも大きな要素を占めた存在――巨人の怪物こと『風車』を抽出・再構成された超抜級侵食型敵性存在。ドン・キホーテはこの風車により生み出されている虚像に過ぎず、たとえ倒しても風車がある限り無限に甦り続ける。
 風車そのものに人格はないが、風車の内部にドン・キホーテを始めとする無数の亡霊が取り込まれており、その全てが夢破れた者の成れの果てである。
 老若男女、時代も国も異なる彼ら/彼女らは、『夢を抱き、しかし叶える事なく人生を終えた』この一点で集合し、ビーストを構成する核となっている。

 本体の見た目は超大型の風車。羽根の中心部、回転軸の部分に巨大時計が取り付けられており、前述の固有スキル:輪廻する風時計に応じて作動する。
 また、風車内部はダンジョンと化していて、無数のエネミーとトラップを内蔵している。最奥部に霊核が隠されており、これを破壊する事でようやくドン・キホーテと風車の両方を撃破可能となる。

 亡霊たちが抱く人類愛、それは『己の夢を通じて抱いた、世界への愛と希望』。

 ある者は、愛する両親や恋人、あるいは同郷の人々に報いたいと努力した。
 ある者は、己が故郷を脅かす者を退け、愛する者達を守るべく戦いに行った。
 ある者は、恵まれない人々を救いたいと、その一心で手を差し伸べ続けた。
 そしてまたある者は――今を生きる人々の為、どれだけ時代が移り変わろうと決して変わらぬ者もあるのだと、そう示し導く為に夢へと生きた。

 それら無尽蔵の、かつて確かにあった愛はしかし、今や悉く獣を構成する要素に成り果てた。

 他者を思い慈しんだ心は、迷い込んだ者を嘲弄し侮辱する悪意となり。
 夢を抱き希望を信じ続けた強さは、他者を愚弄し見下す源泉となり。
 かつて騎士たらんと生きた老爺は、騎士道のみならずこの世全ての正義を否定する悪鬼畜生へと堕ちた。

 獣と化した彼ら/彼女らに最早救いはない。
 あるとすれば、それは彼ら/彼女らを留める牢獄と化した風車を破壊する事。それのみである。
 

  • 最終更新:2020-12-20 22:27:36

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード