バレンタインss-from九重海音

男性職員
「本当にもらっちゃっていいのかい?」
九重海音
「はい。職員の皆さんに渡して回っているので、
 遠慮しないでもらってください。」
男性職員
「それじゃあ、ありがたくいただくよ。
 ありがとう!海音ちゃん!」

>……あれは、九重先輩?

九重海音
「あら?藤丸君じゃない。
 どうかしたの?」
>さっきのって……
>職員の方にチョコを渡して回っているんですか?
九重海音
「ああ、見ていたのね……
 ほら、今日ってバレンタインじゃない?
 だから、日頃の感謝とお礼を兼ねて、
 職員の方々に配って回っているの。
 こういう機会でもないと、想いを
 伝える機会ってなかなかないじゃない?」
>でも、大変じゃないですか?
>準備とか多そう……
九重海音
「それは、まあ、確かに大変だったわよ?
 昨日は、ほぼ夜中までキッチンで作業してたもの。
 まあ、料理を作るのは嫌いじゃないから
 それほど苦でもないのだけど。
 でも、渡すものが義理だとしても……
 手作りの方が気持ちって伝わると思わない?」
>……九重先輩って、案外重い人です?
>それって、変な勘違いの元では?
九重海音
「な、なによ。
 義理でも手作りするのがそんなにダメ?」
>本命なら分かりますけど……
>さすがに義理も手作りなのはどうかと
九重海音
「……むう。
 そういうものなのかしら……?
 でも、こういうところで妥協するのは、
 こう、私のプライドが許さないというか……
 『手を抜いた』ってことは他のこともそうなりそうじゃない?
 出来る時に力を尽くさないのは、
 ある意味で不誠実だと思うのだけど……」
>それは確かに九重先輩の良いところです
>でも、妥協も時には必要だと思います
九重海音
「うーん……分かったわ。
 今度から少し善処してみましょう。
 でも、ということは……
 もしかしたらさっき渡した義理チョコも、
 勘違いされたかもしれないってことよね?
 私としては、ちょっとした社交辞令のつもり
 だったのだけど……」
>まあ、もしかしたらですけど
>言葉の意味を間違えて捉えられてるかも
九重海音
「うーん……
 でも、確かにそうよね……
 言葉なんて、その人の捉え方一つで、
 いくらでも意味なんて変わるものね。」
九重海音
「(でも、それはつまり、藤丸君に私の気持ちが
 伝わらないかもしれないということでもあって。
 藤丸君、普段から誰にでも優しいし……
 好かれない要素なんて、ほとんどないものね。
 チョコの一つや二つ、貰っていても不思議じゃない。
 少なくともマシュは絶対に藤丸君に渡すだろうし。
 サーヴァントの中にも彼にチョコを渡す人は
 いてもなんらおかしくない。
 渡さない方がいいのかしら?
 ……でも、渡さずに後悔するよりは渡して後悔すべし。
 何事も全力で取り組まないとね?)」
九重海音
「えーと……
 まあ、こんな話をした後に渡すのもなんだけど。
 私からのチョコ、受け取ってもらえるかしら?」
>九重先輩のチョコ!?
>いただけるんですか!?
九重海音
「ずいぶんと食い付くのね……。
 もしかして、私から貰えるなんて
 思ってもなかったのかしら?」
>だって、高嶺の花と言いますか……
>住む世界が違うと思ってたので……
九重海音
「もう、失礼ね。
 私だって、好きな人にチョコを送ることくらい
 するわよ。
 ……あ。」
>今、好きな人って
>……もしかして、俺のことです?
九重海音
「あーもう!普段は鈍いのに、どうしてこういう時は
 耳がいいのかしら!?
 ……まあ、もう言っちゃったからしょうがないけど。
 あなたのことが好きなのよ、私。
 だから、その……受け取ってもらえるかしら?」
>喜んで!
九重海音
「……ふふっ。
 それじゃあ、どうぞ。」

>……さっき見たのと形が違う?
>チョコが9個ある……
九重海音
「そういうところには気が付かないのね……。
 まあ、あなたらしいといえばあなたらしいけど。
 とにかく!チョコを渡したからには、
 お返し……期待しておくわね?」
>3倍返し……ですか?
>どんなお返しをすれば……?
九重海音
「何も3倍返しをしろとは言わないわ。
 そうね……。
 ………………
 なら、一日だけ、あなたのことを好きにしていい
 権利とかどうかしら?」
>一日、九重先輩の玩具にされる……
>考えておきます……
九重海音
「……何も物騒なことはしないわよ?
 そんな鬼や溶岩水泳部じゃ、あるまいし。
 というかあの子達に比べれば、
 命の危険がないだけマシじゃないかしら?」
>……それは確かに
>でも、命の危険がないだけですよね?
九重海音
「まあ、ホワイトデーまでに考えておきなさいな。
 それじゃ、私はチョコを配りに戻るわ。
 …………お返し、期待してるわね?」 


『ナイン・エンドロール』
九重海音からのバレンタインチョコ。
均等な大きさで色とりどりのチョコが、区分けされて入っている。
味は、赤がラズベリー(中はストロベリーチョコ)、橙がオレンジ、黄がレモン、黄緑がピスタチオ、緑が抹茶、水色が塩(中にアーモンド入り)、青がブルーベリー、紫がレーズン(レーズン入り)、ピンクが桃となっており、9色の虹を想起させる配分となっている。
その出来栄えは、九重海音ではなく、某赤い弓兵かショコラティエが作ったのではないかと思わせるほど。

余談ではあるが。職員達に配り回っていたチョコは全てハート型であり、一部の職員の間では「彼女、実は自分のことが好きなのでは?」と勘違い案件が起きていたという。(渡された本人は義理だと知らない)
エミヤ「全く、ハート型のチョコを手作りし好きでもない男に渡せば、男が勘違いするのは道理だろうに。どうやら、九重嬢はやや男心を知らぬと見た。今に痛い目に会うぞ?」(お前が言うな)

  • 最終更新:2020-03-24 10:28:51

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