デポラ・メルキセデア
デポラ・メルキセデア
・泣き黒子が特徴的な、蠱惑的な貴婦人
かつては協会には属さぬ形で、アヴィケブロンらによって体系化される前の古きカバラを修める魔術家門。
メルキセデクやモーセの語る天界の秘儀を通じて、根源を目指す一族。
彼女はその当主夫人であった。とはいっても夫とは親戚関係の血縁者であり、そのうえ立場としてはデポラのほうが上で実質的な家門の支配者ではあった。そして、支配者であることと良き妻・良き母であることを両立させてもいた。デポラとしても、魔術師らしい合理性と冷徹さを持ちながら、約束や契約ごとに関して誠実かつ生真面目でもあった夫や息子を愛していた。
だがある日、夫は盟友と信じ込んでいたとある魔術師に騙される形で殺され、同じ場にいた息子も同様の運命を辿った。
デポラは復讐を誓い、執念の調査の末にとうとう件の敵が協会のある一派と繋がりを持っていることを掴み、自ら魔術協会の構成員となり、潜り込んだ。
そして3年後仇を取ることに成功するが、家族の死の背景に、時計塔特有の政治ゲームとその闘争の派閥に取り入ろうとした仇の浅ましい動機があったことを知る。
仇は取ったものの、誠実さと程遠い嘘が跋扈する時計塔の空気を嫌い、神代の研究に努める彷徨海に鞍替えした。だが結局は、組織である以上相応の陰謀や詐術が渦巻く地には違いなく、またも失望したデポラは彷徨海も去ることとなる。(その時一悶着あって殺し合い沙汰となった)
そして、魔術師であっても一般人の社会であっても、ある種の嘘と打算によって成り立っているという当たり前の事実に思い至ると、デポラの精神は極大の怒りと狂気に支配された。
人の営みはあらゆる建前や打算という仮面を取っ払ったものであるべきだ。
その思想に憑かれたデポラは、思想の実現を可能とする力を求め、動き始める。
そんな折だ。
ー―デポラの耳に、ダイアー家の当主が聖杯戦争の英霊の召喚に成功したという噂が入ったのは。
デポラは聖杯探索への参加を決意し、家門が所蔵していた黄金の髪房を触媒として開催地に降り立つ。
触媒のこともあったが、最初からサムソンを自身の召喚するサーヴァントにすることを決めていた。
何故なら、かの最後の士師は最後まで自分のその場の感情に正直に生きた英雄であるから。もっとも、最愛の妻に裏切られた彼を夫と息子に重ねた部分もあるが。
そして、開催の丁度一週間前に右肩に令呪が発現。マスターの一人として聖杯に認められたのだ。
彷徨海に一時期所属していたため、肉体に改造を施している。セラミック金属に近い形質の樹状の魔術礼装を肉体と結合させており、デポラは 神への径ならぬ生命樹(イミテイト・セフィロト)と呼んでいる。それ自体が魔力炉としての役割を持ち、セフィロトの10の実の名を冠した魔力塊を発生させ、破壊の威力をもたらす攻撃としても使える。
奥の手として、研究により真エーテルの性質に極限まで近づけた魔力を顕現させる 秘されし叡智(ダアト)が存在する。もっとも、魔力負担を考えれば本当に奥の手としてか使えない技ではあるが。
- 最終更新:2018-06-06 20:54:06