幽宮綾美

【名前】幽宮 綾美【性別】女性【年齢】16
【属性】中立・善【身長・体重】168.57
【特技】なんでも
【好きなもの】片思いの人【嫌いなもの】自分の才能
【起源】縋る・零れる【魔術属性】火・水
【魔術系統】縁結びと錬金術が主だが他多数の系統にも適性を示す
【魔術回路 質・量】共にA+

──────少女は天才だった。
勉学、スポーツ、芸術、音学、演技、魔術……あらゆることに適性を示す少女。幼い頃から神童ともてはやされ、歴史も二百にも満たぬ新参者から生まれた彼女に魔道の探究心がうすい両親はまだしも、祖父母や曽祖父母などは大いに期待した。 

だから、何だというのだろうか。才能があるから、なんだというのだろうか。私は、このような才能など欲しくはなかったのに。
天才とは、得てして他人とは違うということを納得できるもの。自分が他人と違うのだということを受け入れ、その上で自己を確立する者のこと。
悲しいかな、彼女の感性は一般人そのままのそれであり、多くの人から寄せられる媚びや嫉妬、尊敬や悪意をマトモに受け止めてしまい、その上で耐え切れる器ではなかった。ただの天才であればそういうものだと孤独を受け切れた。けれど彼女は受けきれなかった。
故に、彼女は塞ぎ込んでしまっていた。一人でこのまま死ぬのだと、そうやって思い込んでいた。
そんな綾美に手を差し伸べてくれたのは、後に彼女が「師匠」と呼び慕うことになる男性。彼は綾美を「天才」として扱うのではなく、「女の子」として扱った。
自分に対して擦り寄るために、もしくは顔目的で女の子扱いする男性は少なくなかった。または庇護するべき貴重な存在として女の子扱いされることも多かった。けれど、彼は違う。本当にただ単に「普通の女の子」として見てくれた。そんな彼を「人生の師匠」と認識し、端的に言うと綾美は初めて人に好意を持ち、懐いたのだ。
………恋だったのだと思う。甘い初恋。淡い初恋。自分に光を見せてくれた男に、愛の念を抱くことはなんら間違ってないのかもしれないが。

──────しかし、その夢のような幸せは唐突に終わりを告げる。
名のある死徒。その存在が彼女が暮らしていた街を襲撃し、大打撃を与えた。生き残りがいないわけではなかったが、殆どの人間は軒並み喰い尽くされ死体の海となった。
そんな中、瓦礫の間に収まり襲撃を逃れた彼女は師匠を捜しに街を駆ける。死体と瓦礫ばかりが転がる凄惨な土地。自身の親も挽肉になっていた。そんな中を必死に探し回っていた彼女は、遂に己の師を見つける。
──────虚な目、腐乱死体、醜悪な呪いを撒き散らす食屍鬼(グール)の姿で、己の主となった死徒に追従する形となって。

幽宮綾美は思い返す。自分が恋焦がれたあの優しき素敵な師匠を。自分が愛して止まなかった輝かしい太陽を。………故に、彼女は決意する。
例え屍山血河を生き抜こうと。例えどんな苦痛と苦難が待ち受けていようとも。私は必ず、彼を取り戻すのだと。全ては、愛した師のために。

人の心を慮り、あまり自分を出すことが少ない女の子。これは元々他人との関わりを避けがちだったこともあるため。自分が特別扱いされるのを嫌い、普通の生活、普通の日々を求める。両親を失った後に施設で過ごしている日々は確かに辛いけど彼女にとって何よりもの幸せである。
その裏で、彼女は魔導の才覚溢れる少女として、魔術遣いの道を歩んでいる。それは自分にとって何より大事だった人を助けるため。自分にとっての光を取り戻すため。
本来の彼女は魔術の世界に生きる者としての非情さも、何か超常的なものや辛いものに耐え得る程の精神性もない「ただの女の子」メンタルであるのだが、愛する人のためという一心で自分の前に凄惨な光景が転がろうとも、常人では耐えられないことがあろうとも、それでもと吐こうが泣こうが耐え抜いて成すべきことを成そうとする。

……余談ではあるが、本来の死徒のメカニズムでは死体からグールとなるにしても数年かかる計算に対し、彼女の師は一日も満たずにグールとなったことからかなりの適性があるとされる。あの事件から数年経った今では、恐らく死徒になっているだろう……と予想される。

これまた余談であるのだが、普段の綾美は人と話すことすら怖いという根暗なだけの一般の感性を持っているのだが、唯一。「自らの師のこと」が関わると性格が変わる。己が主のために、怖いのに全てを投げ打つ覚悟を決めた彼女ゆえに。

【能力解説】
幽宮の魔術であった『縁結び』を主題とした魔術を扱う。人と人との縁を繋ぎ、最終的には人類の大半との結びつきによる「アラヤ」の干渉を潜り抜け、根源へとの縁の接続を目指した家系……だったのだが綾美の両親の時点ですでに魔術使いの域へと零落している。魔術刻印の劣化はなけれど、大した能力でもなかったもの。……だったのだが、綾美の起源との相性が「良すぎた」ため、強力なものとなっている。
誰かとの縁を紡ぐ………出来れば、身体を重ねる形や誰かの身体の一部を一定量受け取る形が最も好ましい。それを行った場合、結ばれた縁が強く残り、強固な縁となる。それはある種の一体化とも同義であり、思考や記憶、魔力が繋がれて流れ込むことがある。


追憶(ファーデン)
魔術で繋いだ「縁」を可視化させる形で再現、投影、反映させる糸や宝石型の礼装。縁という抽象的な概念を物質化させることは不可能なため、縁を結んだ人物の大事なものや身体の一部(髪、肉片、魔術回路など)を使い代替する物質としている。……それが綾美の二つの起源によって突然変異したもの。
他者との縁が切れぬよう、寧ろ深く深く結びつくように己に「縋り止め」させて、其れを元としたその縁を繋いだ人間の扱う技能、魔術、異能、超能力をあやふやな形ではあるが確かな形で発動させて「零れ」落ちるようにすぐ消えるといったものになっている。複数の縁の糸が何重というレベルじゃないほど結びつけられ、固まり、宝石のように輝く固体になっている。別の人と縁を繋ぐたびに別個で用意する必要がある。

妄執(フィリア)
綾美の師が綾美に伝授した錬金術と、『追憶』を併せることで作り出した使い魔。
『追憶』とは人との縁を繋ぐものであり、またその人の体の一部などを使っているために「記録」が刻まれた集積回路のようなものでもある。彼女はそれを錬金術の応用で記録媒体としてみることで、それと『追憶』の機能を併用し、縁を結んだ人物の能力を模した生物を作り出す。その使い魔(生物)こそフィリアである。
普段は『追憶』の中に躰を納めており、綾美の命令で躰が構成される。展開された体の何処かに埋め込まれた『追憶』を取り外せば機能は停止し、物言わぬ骸となる。

「………あまり、人とは話したくないの。うん、ごめんなさい」
「私のことをちゃんと知った人ほど、私を今まで見ていた目で見てくれなくなる。それが、堪らなく嫌なの」
「………ごめんなさい。やっぱり、死体は何度見ても慣れないや。多分、私は魔術師なんて最も向いてない性格だと思うよ」
「私は、あの人の幸せが欲しいのよっ!その為に、その為なら、この魂なんて幾らでも燃やして見せる────!」
「恋しちゃったの。初めて大好きだと思ったの。あの人がいたから、私は潰れなかったんだと思う。………だから、私は恩返しがしたい。精一杯恩返しをして……その後に、好きですって伝えたい」
「──────お前、今、なんて言った。私の道を馬鹿にしたな?ふざけるなよ。私が吐いてでも泣いてでもこの道を這いずってやると決めたのはあの人のためだ。あの輝かしい星に追いついて寄り添いたいからだ!……だから、ここに私がいる」

  • 最終更新:2020-04-23 23:20:35

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード